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血液検査のASTとALTが高い時の原因と病気とは?

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健康診断

血液検査で、AST(GOT)・ALT(GPT)の数値が高くなる場合は、何の病気が考えられるのでしょう?

考える女性2

健康診断で数値が高いと言う結果が出ると、何が原因なのかと悩みますよね。

この項目の関係性と数値が高かったり低かったりすると、どんな意味があるのでしょうか?

本日は、血液検査をした時に、ASTとALTの数値が高くなった時の原因や病気について、循環器内科医の鷲尾先生に解説して頂きました。

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AST(GOT)・ALT(GPT)とは?

AST(エーエスティ)、ALT(エーエルティ)は、まだ聞き慣れないかもしれませんが、GOTとGPTという言葉を聞けば、分かる方も多いと思います。

近年、国際的な標準になりつつあり、名前が少し変わってきて、GOTがASTに、GPTがALTとなってきています。因みに、それぞれの略称が下記になります。

AST:アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼALT:アラニンアミノトランスフェラーゼ

AST(GOT)、ALT(GPT)はともに、人体に重要な栄養素のアミノ酸を作り出す酵素で、血液検査で分かります。

血液中にも一定量存在しますが、臓器や組織の細胞の中にあり、それが壊されると、AST、ALTが血液中に流れ出ます。

ALT(GPT)は肝臓に、AST(GOT)は肝臓とそれ以外の心臓、筋肉や赤血球に多く存在しているので、それぞれの組織、臓器が損傷すると血液中のALT、ASTが上昇すると言う訳です。

つまり、肝臓がダメージを受けるとALTとASTの両方が上昇しますが、特にALTが優位に上昇します。

また、心臓や筋肉がダメージを受けると、ASTが上昇します。

では、どのくらいの数値から異常値なのでしょうか?
下記に正常値を示しますので、ご参考下さい。

AST(GOT)、ALT(GOT)の正常値

  • AST(GOT) 11~40IU/L
  • ALT(GPT)  11~40IU/L

(検査方法により若干数値が違います)

上記に示すように、40IU/Lより高ければ、高値と言うことになります。

また、病気を考える時に、AST、ALTの数値もさることながら、ASTとALTの比率も重要になってきます。それについては、次のところで、ご説明させて頂きます。

ASTとALTが高い原因と病気について

医師

前述のように、ASTは、肝臓を含む心臓・筋肉などの臓器に含まれている酵素であり、ALTは、肝臓の細胞に存在する酵素です。

このことから、AST、ALTの上昇を認めた場合、どの臓器が障害を受けているかが予測できます。

特に、ALTが優位に上昇している場合は、肝障害があり、そうでなく、AST優位に上昇している場合は、肝臓以外に、心臓や筋肉の障害も考える必要があるのです。

病気を推測する上で、ASTとALTの数値以外に、ASTとALTの比率も検討する必要があります。

そこで、正常値については、もうすでにお伝えしていますので、今からは、比率も含めて検討した病気の一部を、簡単な表にまとめていますので、ご参考にして下さい。

ASTとALT上昇時の考えられる病気
比率/数値AST、ALT<500IU/LAST、ALT>500IU/L
AST/ALT>0.87肝硬変急性期の肝炎
肝癌
アルコール性
脂肪肝
心筋梗塞
うっ血性心不全
筋ジストロフィー
多発性筋炎
溶結性貧血    など
アルコール性肝炎の重症例
劇症肝炎 など
AST/ALT<0.87慢性肝炎
過栄養性脂肪肝
胆汁うっ滞    など
急性肝炎の回復期 など

この表を見ると、少し複雑に感じるかもしれませんが、大雑把ではありますが簡単に言うと、ASTが優位に軽度~中等度上昇しているものは、肝臓以外に心臓や筋肉の病気を考える必要があります。

しかし、それ以外のAST、ALTはが増えるものは肝臓が病気であると言えるでしょう。

ここで、肝臓の障害に関して、AST>ALTの時もあれば、AST<ALTの時もあるのはどうしてかと、疑問を持たれると思います。

確かに、ALTは肝臓に限定して存在する酵素ですので、肝臓が悪ければ、単純にALT優位であると考えます。

しかし、肝臓の細胞の中に存在するミトコンドリアの中にASTが存在しているため、肝細胞の壊れ方が強ければ、その肝細胞の中にあるミトコンドリアも壊れてしまい、結果ASTも上昇するということです。

また、ALTの方がASTより、血液の中に存在できる時間が長い事も関連し、急性の炎症や劇症肝炎では、ASTの方が優位になりますが、落ち着いてくると血液の中で長く存在できるALTが逆転し優位になります。

そして、アルコールはミトコンドリアに対する毒素となるため、ミトコンドリアが壊れて血中にASTが出てくるため、アルコール性の肝障害では、AST優位となりやすいのです。

このように、今回は肝臓の事について詳しく説明しましたが、それぞれの肝臓以外の病気で上昇する機序については、機会があれば、ご説明させて頂きます。

AST、ALTが高い時の治療方法

病院3

AST、ALTの上昇を認めたら次に、どこの病気で、どのような状態か、を探っていきます。それを探るには、まず、採血でのほかの検査結果を併せて考えていきます。

はじめに、肝臓が悪いのでは?と疑った場合、以下の検査を併せて肝臓のどこがどんな状態なのかを考えていきます。

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1)肝臓の細胞がダメージを受け壊れているか(死んでいるか)?

AST、ALT、LDHが上昇しているか、その値がどれくらい高いかをみる。

2)慢性的に炎症があるか?

γグロブリン、ZTTが上がっているかどうかを見る。

3)肝細胞はまだ十分に働いているか(肝予備能があるか)?

  • 肝臓で作られているもの;PT(血液凝固に関与しているタンパク質)、アルブミン、ChE(栄養を評価するもの)、コレステロールなどが、まだ肝臓で作られていて正常値を保っているか、もう下がってしまっているかを見る。
  • 解毒・排泄機能によりアンモニアが体内で処理されず、血液内に増えてるかどうか、または、ICGという物質を注射してそれが肝臓でどれくらい処理されるかで、肝臓の機能を見るICG検査で、解毒・排泄機能はどれほどき働いているかを見る。

4)胆道系の閉塞はどうか?

血液中のビリルビン、γGTP、ALP、LAPは上昇しているかをみる。
これらの血液検査をチェックし、肝臓系の臓器のどこがどのように悪いのかを考えます。

そうして次に、腹部エコー、CT等の画像診断などを行い、必要に応じて肝臓の細胞を針で穿刺して組織をとって行う検査等をしていきます。

その結果から、確定診断をつけ、それぞれの病気の治療方針を決定していきます。

例えば、アルコール性脂肪肝であれば、もちろん、アルコールの量を減らし、栄養バランスのとれた食事(食事療法)をとるようにする。過栄養性脂肪肝でも、同じ食事療法と運動療法を行います。

また、急性肝炎であれば、基本的な治療としては安静と食事療法となり、重症化の恐れがあれば、薬物療法も導入され長期入院になるでしょう。

そして、ウィルス性肝炎であれば、そのウィルスを特定し、インターフェロン、核酸アナログ製剤などの抗ウィルス薬の投与、肝庇護剤などの薬物療法となります。

もちろん、肝臓がんであれば、その状態により手術や肝動脈塞栓療法(癌が栄養をもらっている肝臓内の動脈に栓をして、栄養をいかないようにし、癌をやっつける治療)、抗がん剤による化学療法などを行います。

次にAST、ALT以外の採血結果も併せ検討し、心臓の病気の疑いがある場合は、心臓超音波検査や心電図、単純レントゲン検査などを行い、確定診断し治療を行います。

例えば、心筋梗塞であれば、安静はもちろんのことながら、酸素療法、薬物療法、心臓カテーテルによる検査と治療を行います。

このように、他の肝臓以外の病気についても、それぞれ検査を行い確定診断し、治療を行っていきます。

まとめ

メニエール病4

ここまで、ASTとALTについてご説明させて頂きました。

ここで、検査を受けるときの注意点として、検査数日前に激しい運動等を行うと、数値が高く出ることがありますので、激しい運動はさけるようにして下さい。

ASTとALTは、2つで一つの検査と言っていいほどの検査項目です。

また特に、「肝臓は物言わぬ臓器」と言われ、かなりのダメージを受けないと症状として表れてこないため、肝臓の病気を見つけるのにとても有用な検査でもあります。

肝臓は、いろいろなものを作ったり、解毒したりと大切な役目をしています。この肝臓を守るためにも、健康診断でASTとALTの上昇があれば、きっちり治療をしましょう。

もちろん、肝臓以外の病気もありますので、それらの診断においても、ASTとALTは有用なものです。

心筋梗塞や心不全は生死を分けるような病気ですし、手足等の筋肉の病気は、生活レベルを下げる事もありますので、ASTとALTは簡単に行える検査かつ重要な病気を早期に見つけることのできる検査項目の一つと言えるでしょう。

もし、異常があるようでしたら、再検査・精密検査を受けて頂けることをお勧めします。

<ライター経歴プロフィール>
鷲尾 美香20年程、循環器内科、総合診療科医として日本で勤務医として働かせて頂き、また海外の医療搬送のお仕事もさせて頂いております。そのため、日本国内だけでなく海外の医療現場にも関わり、沢山のことをさせて頂いています。現在、主人の仕事の関係で海外に拠点を置いておりますが、日本と行ったり来たりで医療に携わっております。また、産業医としてのお仕事をさせて頂き、検診や外来診察もさせて頂いた経験から、検診の重要性を感じております。

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