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血液検査のBUN(尿素窒素)が低い原因を簡単に!その症状は?

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健康診断

血液検査を行うと、殆どの場合はBUN(尿素窒素)の項目があると思いますが、このBUN(尿素窒素)が、低いと検査結果に出たら何が原因なのかと不安になったりしますよね。

もちろん、重大な病気だった場合は医師がすぐに患者さんに伝える事と思います。

女性悩む

でも、特に何も問題がないと言われたり、自宅で検査結果を見てみるとBUN(尿素窒素)の数値が基準より低いと気が付いた場合などは、次の診療日まで待つのは辛いと感じる事もあるのでは。

本日は、血液検査でBUN(尿素窒素)が低い時の原因や改善方法などについて、循環器内科医の鷲尾先生に解説して頂きました。

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BUN(尿素窒素)が基準値より低い原因とは?

BUN(尿素窒素)については、BUN(尿素窒素)高値についての時にご説明させて頂きましたが、再度確認のため簡単に説明させて頂きます。

また、ここでも尿素とBUN(尿素窒素)は、厳密にいうと違うものですが、同じものとして表現させて頂きますので、ご理解を頂きたいと思います。

まず、BUN(尿素窒素)の正常値は8~22㎎/dl、これ未満になると低値となります。

BUN(尿素窒素)は、タンパク質を代謝・分解し最終的に尿素というものに変化し、尿素が血液内を通り腎臓でろ過され、尿として排泄されます。

これらの経路で何か異常があれば、BUN(尿素窒素)は低く(または高く)なります。

つまり、尿素の原料となるタンパク質が少なければ、尿素も低くなりますし、タンパク質から尿素に代わる段階で、代謝異常により尿素が作り出されなければ、血液内の尿素の量は減ります。

では、どのような状態や病気が考えられるでしょうか?
以下の表に示しますので、ご参考下さい。

BUN(尿素窒素)低値となるもの

状態及び病気
肝臓障害による肝硬変の末期
肝不全
劇症肝炎
肝臓がん
中毒性肝炎
急性黄色性肝萎縮症   など
腎尿細管障害によるリポイドネフローシス(ネフローゼ症候群の一つ)
尿崩症など
その他末端肥大症
成長ホルモン・蛋白同化ホルモンの投与 など
病気ではないが低値になる状態栄養不足
妊娠晩期 など

注)女性の方が男性よりやや低い値となる傾向、夜は日中と比べ低くでる傾向にあります。

では、それぞれの病気について、どうしてBUN(尿素窒素)低値になるかご説明させて頂きます。

まずは、薬物等が原因で起こる中毒性肝炎や劇症肝炎、肝硬変末期などの重度肝障害です。

重度肝障害の場合の原因

体内に吸収されたタンパク質は、代謝されアンモニアになりますが、アンモニアは体には有毒なため、肝臓で無毒な尿素に作り変えられます。

この肝臓には大きな予備能力があるので、軽度の肝障害ではアンモニアから尿素への変換を十分に行えるため、体内の尿素量に大きな問題は起きてきません。

しかし、重症の肝障害になると、肝臓でのアンモニアからBUN(尿素窒素)の変換作業がうまくできず、結果BUN(尿素窒素)低値となってしまうのです。

この時に問題となるのは、BUN(尿素窒素)が低いことではなく、BUN(尿素窒素)の変換前の段階の有毒なアンモニアが体内で増えてしまうということです。

アンモニアには強い神経毒性があり、これが体内で増えることにより体に大きな悪影響を及ぼし、不随意運動、姿勢保持が困難になるなどの運動系の症状と、脳を冒していき多幸気分、異常行動、せん妄、言語障害等の症状、最終的には昏睡と神経症状がでてきます。

耳にしたことがあるかと思いますが、肝硬変等の肝疾患にみられる高アンモニア血症による肝性脳症ということになります。

このように、BUN(尿素窒素)の低値による症状ではなく、高アンモニア血症による症状が出てきます。

次に、多尿によるBUN(尿素窒素)の低値です。

多尿による場合の原因

腎臓にある再吸収を行っている尿細管の障害や、合併症(腎障害)初期の段階の糖尿病、ホルモン異常でおこる中枢性尿崩症などがそれにあたります。

多尿とは字のごとく尿が多い状態をいいますが、頻尿と間違ってとらえていることがありますので、注意が必要です。

頻尿は、前立腺肥大症や膀胱炎などに起こる症状で、一日の尿量は正常量なのですが、トイレに行く回数が多い場合に使います。

多尿というのは、健常の成人の尿量がおよそ1000~2000ml/日のところを、尿量が3000ml/日以上の尿が出ている状態の事をいいます。

この状態は、肝臓で作られた尿素を尿中に排泄しているものが、尿量が増えることで尿素の排泄も増え、結果的に体内の尿素が減ってしまうということです。

例えば、尿崩症という病気は、脳の下垂体という部分から抗利尿ホルモンという物質が出て、それが腎臓の尿細管という部分に作用し、尿量をコントロールしています。

抗利尿ホルモンは、腎臓の尿細管から水分やいろいろな物質を再吸収するように働きかけるホルモンです。

このホルモンが、脳炎や頭部外傷など何らかの原因で出なくなったり、遺伝的な原因や抗ウイルス剤などの薬剤の副作用等により、腎の尿細管でこのホルモンが作用しなかったりすると、尿細管からの再吸収が低下し、尿素を含んだ尿の量が増えてしまいます。

その結果、体内の尿素が減ると言う訳です。

この場合も、BUN(尿素窒素)の低値により症状が出るというよりは、口渇、多飲、脱水からくる「ふらつき」などと言った多尿による症状が出てきます。

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その他には、栄養失調もBUN(尿素窒素)低値の原因の一つです。

栄養失調による場合の原因

ダイエットなどで極度の食事制限を行い、体に必要なタンパク質を十分に摂らない状態が続くと、血液検査でBUN(尿素窒素)の低値と出てきます。

これについても、BUN(尿素窒素)の低値の症状が出るというよりも、栄養失調による倦怠感、易疲労感や貧血による立ちくらみなどが起こります。

最後に病気とは言えないですが、BUN(尿素窒素)の下がる原因として妊娠があります。

妊娠による場合の原因

お母さんは、自分のために栄養を摂ることに加え、おなかの赤ちゃんの分の栄養を摂る必要があります。

尿素の原料となるタンパク質も、その栄養の一つです。

おなかの中の赤ちゃんはお母さんの分の栄養も吸収していきます。

そのため、お母さんは、しっかりとバランスよく栄養を取らないと、お母さんの体内のタンパク質の量は減り、その結果、BUN(尿素窒素)は低下します。

余談ですが、タンパク質に限ったことではなく、妊娠中は、バランスの良い食事をしっかりとらないと、おなかの中の赤ちゃんはお母さんの分の栄養(例えば、カルシウムやビタミン、鉄分等のすべての栄養素です)を吸収してします。

これにより、お母さんは栄養失調となり、髪の毛が抜けたり肌が荒れやすくなったり、骨粗しょう症になりやすかったりとなります。

綺麗で元気なお母さんでいるためには、妊娠中、授乳中はきっちりとした栄養を摂るように心がけて下さい。

BUN(尿素窒素)の数値が低くなると現れる場合の症状について

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BUN(尿素窒素)の低値による症状というものは特になく、どちらかと言うとBUN(尿素窒素)の低値となった原因の病気の症状が、その症状となります。

これについては、BUN(尿素窒素)の低値になる原因の病気のところで触れているので、ここでは簡単にまとめてみます。

重度の肝臓障害が原因の場合、易疲労感、倦怠感、出血傾向、消化器症状、意識障害等の神経症状と不随運動など運動系の症状などが出てきます。腎臓からの尿細管からの再吸収障害が原因の時は、口渇、多飲、多尿等の症状や、脱水によるふらつきなどの低血圧症状等が出てきます。最後に体内のタンパク質の不足によるものですが、栄養失調により脱毛、肌あれ、倦怠感、立ちくらみなどの貧血症状などを認めます。

改善方法や治療方法など

医師

BUN(尿素窒素)の低値を指摘された場合、まずはその原因を検索し、原因状態や病気の治療を行う必要があります。

BUN(尿素窒素)の検査以外に、血液検査で貧血や血中総蛋白、アルブミン、コレステロール、肝機能等の検査が一緒にされていると思いますので、それも併せて原因を探していきます。

その検査で肝障害が疑われれば、腹部エコーやCTなどの画像検査や血中アンモニアの測定などを行い、肝障害によるものであれば、食事療法や薬での治療を行います。

また、尿崩症の可能性があれば、尿検査やホルモンの検査、頭部CTやMRIによる画像検査等を行い、診断。治療を行います。

これらで明らかな異常がなく、栄養不良状態によるものと判断されると、お肉や魚、卵、大豆などのタンパク質をしっかりとるような食事療法を行います。

栄養不良が、うつや拒食症等の精神・心療内科疾患が原因であれば、心療内科または精神科での治療も必要となってきます。

BUN(尿素窒素)の低値についての治療は、それを引き起こしている原因の治療がメインとなります。

これについては、BUN(尿素窒素)の高値の時と同じです。

BUN(尿素窒素)の異常値は、それ自身による症状は特別にはなく、その原因となる病気や状態による症状が現れ、治療も原因の治療を行うことが、基本となります。

<ライター経歴プロフィール>鷲尾 美香

20年程、循環器内科、総合診療科医として日本で勤務医として働かせて頂き、また海外の医療搬送のお仕事もさせて頂いております。そのため、日本国内だけでなく海外の医療現場にも関わり、沢山のことをさせて頂いています。現在、主人の仕事の関係で海外に拠点を置いておりますが、日本と行ったり来たりで医療に携わっております。また、産業医としてのお仕事をさせて頂き、検診や外来診察もさせて頂いた経験から、検診の重要性を感じております。

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